元気に森と暮らすミルフィーユのいえ・外観~外構
with SPACE VISION
ウッドフェンスで囲われた庭はリノベーションを行なう前には前面道路に面する駐車スペースとして利用していた。
土地を買い増し外構を拡張することが出来たため、家の中でに閉じこもるように過ごすだけでなく、アウトドアライフな気分を楽しみながら生活を過ごせる庭を設けることが可能となった。
外壁は阪神淡路大震災の直後に新築した当時に主流だった乾式サイディング張りで、表面焼付塗装の経年劣化に対して巷でありがちな事象だが、周辺環境に優しくない派手な色使いの上塗り塗装が行われていた。
玄関周りに10m2未満の増築を行なうリノベーションを機に、断熱性能を補強して自然に恵まれたロケーションとの調和を目指し、落ち着いた色調で外壁全面をカバーリングすることとし、周辺のサイディング張りの住宅とローコストで差別化を図るべく、ガルバリウム鋼板波板の横張りとして、木製玄関建具や木製テラス窓と美しく調和が図れる外観に変貌させて、良好な住環境のイメージアップに繋げている。
前面ウッドフェンスは木製テラス窓およびハイサイドライト採光窓のあるリビングに面したウッドデッキと芝張りのドッグラン、家庭菜園用スペースのある庭を取り囲んでいる。
ウッドフェンスの脚下は多少の積雪時にウッドフェンスが雪に埋もれず、ウッドフェンスの下部から外部の動物が侵入したり、愛犬が勝手に外へ出ていかないように砕石積みを施した蛇籠を設置したものである。
ウッドフェンスの柱は腐食しにくいよう溶融亜鉛めっきドブ漬けの角パイプを使用している。
設計者は長らく構想を温めてきたオリジナリティのあるウッドフェンスのコンセプトを伝えて住まい手に提案したものの、予算に比して蛇籠が高価であり、それでも砕石積み手間のコストを抑えてでも実現したかったため、設計者自らが試行錯誤しながらイメージに近づくよう砕石積みを行った労作である。
道行きながら興味深げに質問する人々も多かったが、徐々に完成に近づくに連れ、「ミルフィーユのいえ」になんとも言えない重厚感、すなわち「ドコニモナイ空間タイケン」が加わり、コストの兼ね合いで断念しかかった住まい手も大いに喜ばれ、通りがかりの人々も感嘆の声をかけてくださることが多かった。
ウッドフェンスは玄関ポーチに近づくに連れ段状に低く下げてあり、カーポート脇の枕木で囲んだ花壇の植栽も庭のハナミズキに向かって段状に高さを変化させている。
玄関ポーチ床の段鼻と蹴込みはは敷き瓦としているが、床面はタイル張りでもモルタル左官仕上げでもなく、豆砂利洗い出し仕上げとして、あちこちにどこにでもある住まいづくりとはちょっと違った「ドコニモナイ空間タイケン」のアプローチであることをさり気なく表現している。
玄関ポーチの周囲は砂利敷きに枕木をアットランダムに埋めてリズム感のあるアプローチを形成している。