主屋:外観(全景)
『履歴を調査の上、原則として現状維持又は然るべき旧状に復原すること』
伝建地区内で《伝統的建造物》に指定されている建物を修理するときの基準は冒頭の一文に尽きます。対象となる部分は『通りに面した外観』『屋根面』『柱や梁などの構造材』です。これらは伝建地区の保存計画の中で明文化されており、改修設計・工事に対する補助金が交付されるか否かにも関わってきます。
改修設計を行う前の実測調査では、現況把握のほか、建設当初の姿や改修の履歴をある程度知ることができました。建物に残る痕跡だけで判断できない部分については、過去の文献資料を探したり、聴き取り調査を行うことで補いました。
今回の改修設計では、修理後の外観を検討するにあたり、写真左側の隣戸とかつては2軒長屋であったことも考慮する必要がありました。
また、通りに面して屋外に露出していたメーター類や配管・配線は、改修の際に玄関右脇にメーターボックスを設け、まとめて屋内化しています。